
店長 しげとし
重歳 修 (しげとし おさむ)
有限会社しげとし珈琲 代表取締役
1966年岡山県生まれ。高校に行く傍ら16才から親が経営する喫茶店でアルバイトを始める。高校卒業後、甲南大学に進学するも、学校をサボってカフェでコーヒーを飲むことにうつつを抜かす。
卒業後、イトーヨーカドーに入社し婦人衣料部に配属される。売り場で年配の女性に衣料を販売している時、「お客様が欲しいのは『服』ではなく『お母さん新しい服買ったの?』というご家族のひと言では無いか?」と感じたことが人生の転機となる。
「ご家族との会話が欲しいならコーヒーの方が良い」と考え会社を辞め、「人と人をつなぐ接着剤としてのコーヒー」をテーマにコーヒー屋を開業。「ご家庭でおいしいコーヒーを楽しむ」ことに全力を傾け、現在に至る。
もう少し詳しく「私達の目標」についてお話させてください。
私達の目標は、「感動コーヒーで笑顔の循環を作る」ことです。
少し長くなりますがお付き合いください。
店長のしげとしは、学校を卒業して総合スーパーに就職しました。
東京の中央線の武蔵境にあるスーパーで婦人もののトレーナーやTシャツを販売してたんですが時代も良かったのか、スゴくたくさん売れてたんです。
そのとき、ふと
「トレーナーが、なんで、こんなにたくさん買ってもらえるんだろう?」
という疑問が湧いてきました。
そんなある日、売り場の鏡の前で真剣に洋服を選んでいる年配の女性を見てお客様が欲しいのは『服』ではなく『お母さん新しい服買ったの?』というご家族のひと言では無いだろうか?と感じたんです。
そこで、「ご家族との会話がほしいのなら、コーヒーのほうがいいんじゃないか?」と感じまして、会社をやめて「ご家庭でおいしいコーヒーを楽しむ」ことに全力を傾け、現在に至るわけでございます。
ブッチャケて言えば、新しい服を買ったからって「服、買ったの?」なんて聞いてもらえるほど世の中、甘くないと感じるんですよね。たとえ、髪型を変えたって、丸坊主にでもしない限り、わかりませんし…。
ご家族の近況を把握したいのなら、私達が学生時代の飲み会でやってたみたいに「ここに座って飲め!」のほうが効果的だと思うんです。(当然、コーヒーでやっていただきたいわけですが…)
その時に、「感動コーヒー」と私達が呼ぶタイプのコーヒーは丁寧に栽培されているので、フレーバーが豊かで、透明感があって、甘みが強くて、後味が良くて…。たしかに焙煎は難しいのですが、味が美味しい上に、ご家庭でも抽出が安定しやすくて「ご家庭でおいしいコーヒーを楽しむ」のに最適なんです。
つまり、「ご家庭でおいしいコーヒーを楽しむ」には「感動コーヒーが良い」という結論になりました。
しかし、このタイプのコーヒーは日本では流通が少なくて欧米の市場がメインで流通しているんです。ですから、欧米に負けない買い付けが出来るように生豆の買い上げ価格を大幅に上げました。
コーヒー屋をやっていると、世界はあまりにも不公平で、ときどき、やりきれなくなったりするんです。
コーヒー生産国は貧しくて問題も多いですし、それなのに、良いコーヒーが見つかると、豊かな国の人が貧しい生産者さんに「もっと安くならないの?」なんて言ったりするわけです。
コーヒーは農業ですので、来年も良いコーヒーを収穫をするためには準備の段階でしっかりとコストをかける必要があります。やっと収穫したコーヒーを安く売ったら、来年、良いコーヒーが作れなくなってしまうのは明白です。
その時に私達は、コーヒーの生産者とお客様との間に立つ販売員として、両方が良いものと、悪いものを持っていることがわかっていました。
生産者さんは貧しい国に住んでいるので、お金がなくて不自由なことが多い反面、家族など、人と人のつながりは温かい場合が多いと感じます。
お客様は豊かな国に住んでいるので、お金があって物質的に豊かな反面、家族など、人と人のつながりが希薄になっているように見えます。
そこで、貧しい国から「感動コーヒー」を買い付けてお客様に楽しんでいただき、お客様に笑顔になっていただきたい。
そして豊かな国からは「感動コーヒー」に対して必要十分な対価をお支払いして生産者さんに笑顔になっていただきたい。
つまり、感動コーヒーを流通させれば、笑顔の循環を作る事ができるのではないか?と考えた次第です。
そんな感じで私達の目標は、「感動コーヒーで笑顔の循環を作る」ことです。
しかし、最後にして最大の障壁となるのは「コーヒーの販売価格」です。
私達が「感動コーヒー」と呼ぶレベルのコーヒーは欧米でも人気があるので生豆が高くて普通にやってると、100gで1000円以上になっちゃうんです。
これでは、日常で楽しんでいただくには難しい場合もあるでしょうし、限られたお客様相手では販売ボリュームも限られてしまうと感じました。
できればコーヒーがたくさん売れるようになって、コーヒーを通じて、より良い世界に変えていきたい… という野望が、私達にはあります。
そこで、極力、簡素でシンプルなサービスにすることで、感動コーヒーを手頃な価格で楽しんでいただこうという作戦にしました。
長いお話になってしまいましたが、感動コーヒーを流通することで、豊かな国のお客様には人と人のつながりで笑顔になっていただきたいと思いますし、貧しい国の生産者さんには生活が安定することで笑顔になっていただきたいと思います。
最近は様々な与件からコーヒー生豆の価格が高騰することが予想されています。
いろんな面で不安の多い時期ではありますが、高い品質の「感動コーヒー」を、簡素でシンプルなサービスでお届けして「感動コーヒーで笑顔の循環を作る」ことを目指してまいりますのでこれからもよろしくお願い致します。